ボードゲーム『ロード・オブ・ザ・リング:対決』レビュー

ライナー・クニツィア先生による2人用ゲーム『ロード・オブ・ザ・リング:対決』。

f:id:dodo-argento:20190311222226j:image

お店で見かけることはほとんどなかったのですが、偶然発見したので即購入、即プレイ、面白かったので即レビューです。

 

簡単にどんなゲームかというと、名前の通りトールキンの小説『指輪物語』を基にしており、旅の仲間側とサウロン側に分かれ、各陣営9人ずついる駒を動かして軍人将棋(=相手に自分の駒の正体が見えない)のようにして戦っていきます。

 

このゲーム、『指輪物語』や映画『ロード・オブ・ザ・リング』を知らない人にどの程度アピールするのか不明ですが、物語を知っていると面白さ激増です。

 

まず、勝利条件に感動。

お互いの勝利条件が違うのです。

 

旅の仲間側の勝利条件は「フロドがモルドールに到達すること」、サウロン側は「フロドを殺すか、ホビット庄に3人が到達すること」。

…めちゃくちゃ燃えませんか?

↓ ボード手前がホビット庄、奥がモルドール

f:id:dodo-argento:20190311222239j:image

また、各キャラクターに戦闘力と特殊能力が付与されているのですが、それもかなり原作に沿ったものになっています。

例えばフロドは「戦闘力1」(弱い!)。

サムは「通常は戦闘力2だけど、フロドと同じマスにいる時は戦闘力5」(涙)

他にも「旅の仲間側はモリア坑道を通って近道できる」けれど、そのエリアにバルログが配されていた場合、即死」とか、最高すぎます。

とにかくリアルなのが、旅の仲間側とサウロン側の絶望的な戦力差。基本戦闘力に加え、戦闘中にプレイできる各陣営のカードも、サウロン側の方が強い。

f:id:dodo-argento:20190311222305j:image

↑ 旅の仲間側は強くてもガンダルフの「5」が最高なのに対し…

サウロン側はケイブトロールの「9」が最高で、他に「5」も3人いる

f:id:dodo-argento:20190311222330j:image

だから旅の仲間側でプレイする時、明らかに不利な状況を、頭脳と9人の協力で乗り越えていかなければならない。このチャレンジングな設定がリアルな上に、ゲーム的にもとても面白い。

じゃあサウロン側だと簡単なのでは、と思うけれど、そこは天下のクニツィア先生。ちゃんと考えられています。

両陣営の戦力差を補う重要なポイントの一つが、我らがフロドの特殊能力「攻撃された時、側方に退却できる」です。

このゲームは、基本的に毎ターン1つの駒が1歩前進することしかできないのです。(そして同じマスに入ると戦闘)

↓ 特殊能力で決着がつかない場合は、続いてカードをプレイして勝敗を決する

f:id:dodo-argento:20190311222436j:image

なので例えばサウロン陣営の誰かがフロドのマスに入ってくると、フロドは横のマスに逃げる(逃げられないケースもあります)。するとその敵は次は前進しかできないので、横にいるフロドに対してそれ以上攻撃できない。フロドは前進し、モルドールに近づいていく。

このフロドの能力があるから、工夫次第でサウロン陣営に勝つ(モルドールに到達する)ことができる。フロドの能力に意味を持たせるがためのひし形のボードだったのですね(たぶん)。 凄い!

↓ 例えば下のようにフロド1人対3人という状況になっても、ここまで来ればモルドールに到達できる可能性が出てくる

f:id:dodo-argento:20190311222655j:image

これら特殊能力を考えた上での駒の初期配置が大事で、このへんの、初っ端からの読み合いが熱いです。

また、ここで詳しくは書きませんが、戦闘中のカードプレイもとても重要で、カードゲームとしての悩ましさもあるところがまた面白いのです。(私は『アールライバルズ』を想起しました)

 

ともあれ総括すると、

旅の仲間側は「戦闘力は低いけど、相討ちでもいいから敵を少しでも減らせばフロドの道が開ける」

サウロン側は「戦闘力は高いけど、一旦崩されると案外モロい」

このバランスが絶妙で、もう本当に、さすがクニツィア先生!と唸らずにはいられない。

紛うかたなき傑作だと思います。 

 

*他のキャラクターが登場するヴァリアント・ルールも収録されていますが、それはまたの機会に…。

 


思考性      ★★★★★★★★☆☆

ジレンマ     ★★★★★★★★☆☆

インタラクション ★★★★★★★★★★

ギャンブル性   ★★★★☆☆☆☆☆☆

運要素      ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

テーマ      ★★★★★★★★★★

コンポーネント  ★★★★★★★☆☆☆

重さ       ★★★★☆☆☆☆☆☆

総合評価     ★★★★★★★★★☆


BGG RATING:7.5/BGG RANK:284

 

↓ 手に入るのは英語版かドイツ語版のようです

Amazon

The Lord of The Rings Confrontation Board Game おもちゃ [並行輸入品]

The Lord of The Rings Confrontation Board Game おもちゃ [並行輸入品]

 

 (駿河屋)

ボードゲーム[日本語訳無し] 指輪物語 対決 豪華版 (Lord of the Rings: The Confrontation Deluxe Edition)

夫婦ボドゲ21

 

謎解き旅行を挟んでいたので、久しぶりの対戦結果。

・フンギ  ○✖

・フルーツジュース  ○✖○✖✖

 

『フンギ(Fungi)』は旅行の帰りに某店で発見して即購入。

f:id:dodo-argento:20190302231701j:image

たくさんの種類のキノコを集めていく、2人専用の楽しいゲーム。
f:id:dodo-argento:20190302211633j:image

戦略的なところまでまだ掘り下げていないけど、集めるキノコの種類の取捨選択、カードを切るタイミング…などに考えどころがある。

とにかく今はまだ、色んなキノコのイラストを見ているだけで満足している。
f:id:dodo-argento:20190302211644j:image

 

そして『フルーツジュース(Fabled Fruit)』はついに完走!

通算22回目で、最後の59番のカードまで登場。

最後がどんなカードなのか気になっていたんだけど、ほほぅという感じ。

終盤戦は結構、一気に手札を増やせるカードが出てきたりして、相手に先走られると非常に厳しかった。

あと、攻撃や邪魔系のカードも出てくるので、その効果を使うか、もしくは買ってしまって場から排除するか、というあたりは序盤より悩んだかもしれない。

 

全体的に見て、2人プレイの場合(に限らないかもしれないけれど)、先手だと初手をミスらないように、後手だと後れをとらないようにしていくのがとっても大事。

そのあたりが分かってくると、今あるカードをどう利用するか、と考えるのが面白くなってきた。
f:id:dodo-argento:20190302211625j:image

ぜんぶ終わっての感想は、

私「やっぱり変なゲーム!」

妻「カタルシスがない」

もちろん人にもよると思うけれど、このゲームは3人以上の方がいいかな。

2人でも次々と出てくるカードの効果を楽しみながらプレイできたけど、2人だとほとんど意味をなさないカードがあったりするので、その辺は人数がいた方が隅々まで楽しめて、また駆け引きも増してより面白いと思う。

とはいえなが~い旅を走り切ったいま、思い返せばあんなカードがあった、など回想するのもまた楽し。

変なゲームなんだけど、その変さが、別にイヤじゃない。むしろ変具合を楽しめる作品。

他ではちょっと味わえないゲーム体験、それが『フルーツジュース』(byフリードマン・フリーゼ)でした。
f:id:dodo-argento:20190302211656j:image

フルーツジュース 完全日本語版

フルーツジュース 完全日本語版

 

 

2019箱根謎解き旅行記

先日、いつも一緒に遊んでいるボードゲームバカ 仲間と共に、「謎組」による体験型謎解きイベント迷い込む物語体験 本と歩く謎解きの夜〜消えたエピローグの行方〜に参加してきました。

場所は箱根仙石原プリンスホテル。イベントだけじゃなくて、温泉、料理、そして謎解き後のボードゲーム(各自持参)といろいろ楽しめそうなので、思い切って宿泊プランを申し込みました。

いつものメンバーでの旅行は初めてです。

 

当日、各自ボードゲームで膨らんだリュックを背負い、新宿駅で待ち合わせ。ロマンスカーで小田原まで向かいました。

さっそく車内で取り出されたのは、最近お店でよく見かける『レイルロード・インク』。どんなゲームなのか全然知らなかったけれど、ペンで路線図を描いていくゲームらしい。なるほど、だから『RAILROAD ink』(× inc)なのね。

f:id:dodo-argento:20190226174842j:image

ダントツの最下位だったけれど、電車の中でこれをやる機会はそうそうあるまい。

満足。

 

バスを乗り継いで到着したのは15時半(ちなみにバスの中ではみんなでアプリ版『カルカソンヌ』をプレイ)。事故渋滞に巻き込まれたせいで謎解きの開始が遅れてしまったけど、むしろ燃える!

 

実際のホテルを舞台に、物語の謎を解き明かしていく今回のイベント。

チェックインしたら早速フロントの方(優しい)に謎解きグッズをもらいます。

このとき渡された一冊の文庫本を手に、物語を読み進めながらホテル内を移動して謎を解いていく。

f:id:dodo-argento:20190226175741j:image

たぶん、ある程度本を読み慣れていないと結構つらいと思う。

制限時間は夜の9時(途中、晩御飯)なので、のんびりはしていられません。

部屋に集合してすぐに謎解きスタートです。

f:id:dodo-argento:20190226174811j:image

詳しくは書けませんが、本に示された場所に行き、さまざまな種類の謎を解き、手掛かりに近づいていく。解くほどに本の物語の結末に向かっていくというスタイルです。

本当によく練られていて感心してしまいました。

このために本を作ったのか! とそれだけで驚きです。すごい。(ちょっとした誤植らしき箇所もありましたが)

難易度も、あまり謎解きに慣れていない自分にはいい具合に難しく、時にメンバーの助けを借りつつ解決していきます。

時間に余裕があれば全員が解き終わるまで待っていてもよいのですが、タイムオーバーは何としてでも避けたいがゆえに、解けた人から「分かった!」とみんなに宣言。これが結構スリリングで楽しかった。(といってもみんなほぼ同時に解けていたかな?)

 

ホテル内のいろいろな場所を探索できるのが、まさに参加型の醍醐味。こんな体験、普通できません。(当然、ほかの宿泊客がいるので、マナー厳守)

きれいな螺旋階段とか、趣のある暖炉とか。

f:id:dodo-argento:20190226181307j:image

雰囲気ばっちりでした。

 

謎も最後の方になると、難易度がややアップ。

少し行き詰まったところでディナービュッフェに向かいました。

解決までお酒はナシ!と決めていたのですが、あえなく折れて自分だけ赤ワイン注入。そしてモリモリ食べます。みんなで来ると、こういう時間が楽しいんですよね。

パワーを得た食後、みんなポンポンと解いていくなかやや遅れ気味の私。(as always)

それにしても最後まで、謎が良くできている。なるほど!と思わず膝を打つ展開に感動です。

物語の結末に向けて、加速度的に増していくテンション。

そして赤ワインが効いてきたのか、最終盤の謎では私がコナンばりの名推理を発揮!(やや誇張だけど褒めて。というか今思えば一気に解いてしまって申し訳ない。みんなを待てばよかった…)

力を合わせて見事解決となりました。万歳!

全部解けた時の感動と達成感は忘れない…

 

所要時間は正味2時間半くらいでしょうか。

9時までにはまだ時間がありましたが、夜になるとグッと雰囲気が増して、俄然ドキドキしました。

(面白さをもっと詳しく書きたいところだけど、書けません! ご興味のある方は3月22日までです)

 

部屋にて、ビールで乾杯! こんなにうまい一杯があろうか。

f:id:dodo-argento:20190226194117j:image

さらにレストランにて、ご褒美のカクテルで乾杯! うまい!(甘い!)

f:id:dodo-argento:20190226185652j:image

みんなでカクテルを傾けた時の解放感は、実に得難いものがありました。

最高ですね。

 

謎解きの後はお待ちかねの温泉です。

露天風呂、冷たい風が吹いていて気持ち良かったなぁ〜。

 

そして再び部屋に集合してのボードゲームタイム。

みんなヘトヘトですが、そこはボドゲバカバカの集まりですから頑張ります。

 

まずは『ボトルインプ』。

買ってからずっと奥さんとの2人対戦ばかりだったけど、やっとみんなで出来ました。

f:id:dodo-argento:20190226190335j:image

感想、面白い!

駆け引きが2人の時とは段違いです。初めにボトルの下に何を入れるか、という段階ですでに面白い。

インストも簡単だし、悩みながらも軽いプレイ感でワイワイ盛り上がれる。

これはゲーム会でもリピートできそうです。

 

お次は友人が持ってきてくれた『上洛』

これはどういうゲームなのか理解するまでに少し時間を要しましたが、なるほど、シビア。

自軍を京都に移動させつつ、途中の小競り合いとラウンド毎の決算で勝利点を稼いでいく、トリックテイキング+エリアマジョリティのゲーム。

f:id:dodo-argento:20190226190747j:image

考え出すと止まらない感じで、結構な重ゲーと言ってもいいかもしれない。

デザイン的に少し混乱させられるところがあるのが玉に瑕だけど、面白いですね。

最後の方にようやく飲み込めてきて追い上げるも、1点差の2位タイ。惜しい。再戦希望です。

 

この辺りでみんなに疲れと睡魔が襲ってきたので、次が最後のゲーム、『ダンジョンオブマンダム  エイト』です。

f:id:dodo-argento:20190226191253j:image

これもいつやっても楽しくて、独り洞窟の前に取り残され、そして背中をドンと押されるのが笑える。すぐパスするプレイヤーがいたりと、個性が出るのも面白い。

みんなで盛り上がれるゲームですね。

 

というところで、初日は解散。

翌日は朝風呂からのビュッフェ、そして出発直前にまた『ボトルインプ』です。

なんという極楽。

また部屋からの景色が気持ちいいんだ。

f:id:dodo-argento:20190226191706j:image

ギリギリまで遊んで、後ろ髪を引かれる思いでチェックアウト。あとはお土産を選んだり。

帰りのバスで『カルカソンヌ』の続きをやって(ちなみに最下位)、小田原でお蕎麦を食べて今回の旅も終わり。

…が、そこはボドゲバカロマンスカーで新宿に戻ってから、駿河屋でボドゲを漁り(そして買う!)、ヨドバシのボドゲコーナーを覗き(また買う!)、イエサブに足を運んで(まだ買う!)、やっと解散となりました。

 

みんな仕事頑張ってるし、たまにはこんな贅沢もいいよね、という、充実の旅でした。

 

ちなみに帰宅後、早速買ったばかりの『フンギ』を奥さんと対戦。

とことんゲーム漬けの週末でした。

 

みんなありがとう&お疲れさまでした。

 

そして楽しい企画を提供してくれた、謎組とホテルの皆様、ありがとうございました。

 

 

夫婦ボドゲ20

 

対戦結果

カタン  ○

・ボトルインプ  ○

テラフォーミング・マーズ  ✖

 

カタン6連勝!

f:id:dodo-argento:20190222092749j:image

この実力、ホンモノ!(かも)

どうしてしまったんだろう、私。

カタン』なんて一生勝てないと思っていたのに。

 

勝ってるから言うわけじゃないけど、2人用ルールはかなり完成度が高いと思う。

4人以上だとちょっと攻撃的になり過ぎる気もするので。

2人カタンはかなり快適にプレイできます。

そして『カタン』は感想戦も面白いね。(勝っていれば)

カタン スタンダード版

カタン スタンダード版

 

『ボトルインプ』は今回も「ロパカ」ルールで。

f:id:dodo-argento:20190222093158j:image

たいていロパカがボトルを引き取ってくれるんだけど、初めて奥さんが引き取ってた。

このカードを出せばボトルを押し付けられる、とか、相手は何色を持ってるからこれで勝てる、とかが徐々に分かるようになってきた。

3回勝負で、47対-7、6対60、47対23の計100対76で勝ち。

 

久しぶりのテラフォーミング・マーズ』は残業上がりの午前1時から(怖)

ちなみに前回は60点差くらいつけられての完敗。

今回こっちはマイニング・ギルド、向こうはクレディコー。

マイニング・ギルドは強すぎず弱すぎず、ちょうどいいバランスでプレイを補佐してくれるからお気に入り。

f:id:dodo-argento:20190223115430j:image

常にリードされる展開だったけど、カード点を結構取っているので、逆転を信じて…
f:id:dodo-argento:20190223115423j:image

が、105対117で負け。

称号を序盤に3つとも押さえられたのが大きかった。

マイニング・ギルドで建設師を取れないのは痛いね。

奥さん曰く「都市とか褒賞とか、お金使い過ぎよ」との上から目線評。ぐぬぬ

しかしまぁ一応相手を褒めておくと、タイル配置がいつも下手くそな奥さんの割には、そこを頑張ったのではないかと。その差かな。しらんけど。

 

静かなる激闘は3時半に終了となりました。