『X-MEN:ダーク・フェニックス』感想

最近はあまり映画館に足を運ばなくなった自分も、X-MENの新作(しかもこのメンバーでは最後?)とくれば別。封切りされたので早速観に行ってきました。

結果、良くも悪くも王道、どストレートなSFアクション映画。

よっしゃきたー!という思いと、これでいいのか?という思いとが交錯した状態で終わってしまった。

 

以下、ネタバレだらけです。

 

この映画、はっきり言って雑。かなりの部分をシリーズのファンの脳内補完に頼っている。ちゃんと描こうよそこは、という場面が序盤からどんどん登場してくる。そのうち今作はそういうものなのかと受け入れて、いい方にいい方に補正をかけて観ていたけど、終わってみればやっぱり雑だったと思います。

例えば初めの方にレイブンの死という衝撃的な出来事があるのだけれど、何だか劇中ではさほど衝撃的でないような雰囲気。そんなバカな。一応ハンクとエリックが悲しんでいたとはいえ、あれ?チャールズは?と思いました。ハンクとエリックにはないレイブンとの絆がチャールズにはあったはずなのに、あんまり興味なさげなその態度…。「昔ここで出会ったんだ…」と言わせてはいたものの、取ってつけた感が否めません。

突然宇宙人がやってきて、X-MENは再び人間に敵視され…っていう展開も粗く、「ファンはもう分かってるからいいよね?」という作り手の声が聞こえてきそう。いや確かに分かってるんだけど、もうちょっと何かこう、その辺はちゃんと感情移入させてくれたのが俺たちのX-MENだったじゃないかと思いました。

それらをほぼすっ飛ばして描かれる、柱となるジーン救出ストーリー、王道すぎます。最後だからあえて?かどうか知らないけど、脇目も振らず一直線。ここでもX-MENらしいためらいや葛藤はサラッと示されるだけ。良くない意味での直球映画だった気がします。

ラストの空飛ぶフェニックスもね、かなりダサかったです。

 

ここまで、不満点。

 

それでも、燃えました。

人間のヘリをぶっ潰そうと暴走するジーンに立ちはだかるエリック。

エリックが全身全霊で止めようとする。あのエリックが。これまでの歴史が頭に蘇りました。並のX-MENなら全く歯が立たないであろうところを、ものすごい形相で踏ん張るエリックの姿に胸が締め付けられました。ファスベンダーさんも凄まじい演技。エリックに敵うものか!すげぇ!頑張れ!と年甲斐もなく映画館の座席で息を止めて手に汗握っていたのは内緒。

そんなシーンや、さっき王道すぎると批判したものの、やっぱりX-MEN総力結集の必殺技バトルは燃えました。

ここも主にエリックなんですが、地下鉄掘り起こすとか相変わらずの独創性を発揮していて素晴らしい。

最後だからサービスのつもりだったのか、みんな大活躍でしたね。

単純に楽しかったです。

 

でもこの辺を観ていて、「あぁ、終わりなのか…」と思いました。ここらが潮時なのかと思わせる最後のバトルシーンに、寂しい気持ちがこみ上げました。

ファンの頭の中では新たなストーリーが始まっているはずですが、個人的にはまたキティ(エレン・ペイジ)に活躍してもらって、レイブンとジーンを死なせないように何とかしてもらいたいです。

このメンバーでのX-MENは、本当に良かったですねぇ…。

★7

 


以下では、自分でも順番がよく分からなくなっていた新シリーズを、発表順に整理してみました。(過去作のネタバレがあります)

 

1、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション 』 

ナチスの登場するエリックの少年時代から、1962年キューバ危機までの話。

エンジェルやバンシーが登場。

ケビン・ベーコンローズ・バーン出演。


2、『X-MEN:フューチャー&パスト

2023年の未来で危機に陥っていたミュータント達を救うため、ウルヴァリン1973年の世界に送り込まれる。X-MENの活躍によって未来を変えることに成功する。

2023年にはブリンク(ファン・ビンビン)が、1973年にはクイックシルバーが登場。


 3、『X-MEN:アポカリプス

X-MEN:アポカリプス   (字幕版)
 

前作の1973年から10年後、1983年が舞台。復活した紀元前のミュータント「アポカリプス」を倒すために、若き日のX-MENを結集させる。

(『ファースト・ジェネレーション』で記憶を消されたローズ・バーン出演)


 4、『X-MEN:ダーク・フェニックス』

そして本作は、「エンデバー」打ち上げの1992年が舞台。


こうやって見てみると何らややこしいことはなく、発表順がちゃんと時系列でした。

新シリーズだけをみれば、いたってシンプル。

『フューチャー&パスト』の1973年で未来を変えたことにより、旧3部作(舞台は2000年代~)が別の時間軸になったということですね。

ウルヴァリン』シリーズも含めてまたそのうち観直してみたいと思います。