『ヒット・ザ・ロード』とイチ押しゾンビ映画
約2か月ぶりの更新は、ようやくプレイできたボードゲーム『ヒット・ザ・ロード』について!
『ヒット・ザ・ロード』は、ゾンビ大発生によって壊滅したシカゴから西海岸まで生きて辿り着くことを目指す対戦型サバイバルゲーム。『ブラス』や『蒸気の時代』『ロンドン』などで有名なマーティン・ウォレスさんの2016年の作。
周りがちょっと引くほどのゾンビ大好き夫婦である自分たちにとっては避けて通れないゲームなんだけど、いろいろ他のゾンビ退治に忙しく、先日やっとプレイが叶いました。
詳しいルールはどこか別の場所で探していただくとして、いいなぁ~と思ったところを簡単にレビューします。
あ、このゲームは内容物自体に楽しい仕掛けがあるので、それを知りたくない方はお読みにならない方がよいかもしれません。内容物の紹介を中心に掲載しています。
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まずパッケージ。タイトル「Hit the Road」の the がZに書き換えられています。
荒廃した世界で生き残った少年が自身の体験を元に作ったゲーム、という設定になっていて、平和な時代に存在していた遺物を流用したデザインになっているんですね。
箱裏には、元のゲーム「HIt the Road」(=出発、出かけようの意)の説明が書いてあります。面白くなさそうなトラベルゲームです。
箱を開けるとまず目を引くのが手番順タイル。そのうちの一つは、どこかのバーガー屋のポイントカードを流用した形。スタンプの向きが整っていないのがリアルです。このカードが少年のものだったのか、どこかで拾ったものなのかは分かりませんが、いずれにしろもうお店のバーガーを食べることはできないということでしょう。ゾンビになって人肉を貪り食う未来が見えます。
その手番順タイルは#1と#2のサイズが異なっており、寄せ集めの素材であることが強調されていますね。すごいこだわり!
次はカード類。こちらはトランプなどを使用したようで、かなり薄汚れています。赤い染みは何でしょうか…? おや、血ですね。ウヒャヒャヒャ!
そして②や③という数字はゲーム作成の際に少年が書き入れたもので、形がバラバラ。なんともリアル。
トランプだけじゃなくて、どこかで見たことのあるカードも使われています。憎い演出! ボードゲームで遊べる時代の平和さを痛感すると同時に、ゾンビが徘徊する状況下でもめげずにエンタメを作ってしまおうというアメリカ人の精神に感服。ま、ウォレスはイギリス人ですけど。
カードの表には荒廃した町の様子が。このイラストがどれも見たことのある景色ばかりで(映画とかドラマでね)、資料的価値が高い。少年が見てきた情景だと思うんだけど、その観察眼に驚かされます。相当なオタクだな。
ちゃんとロメロへのリスペクトもありますね。このお姉さんも内臓をほじくり出されたのでしょうか。
でも時には美しい思い出に浸ることも必要でしょう。涙なしでは見られない。
こんなカードがたくさん入っており、眺めているだけでも楽しいです。
また、資源トークンもビール瓶やコーラの蓋で代用する少年。ナイスアイデア。
瓶の方は火炎瓶にしてゾンビを燃やすのに使ったのかな…そんな話で盛り上がること必至です。
肝心のゲームはどんなものなのか、超簡単に説明を。
ボードはナシ。下の図のように横並びの2枚一組のカードがそのラウンドで進める道を表しており、各プレイヤーは3本(=2人プレイ時)ある進路のうちどれか1本を選択。選択するとカード左上に示された資源を得たのち、下部に記されたイベント(主にゾンビとの戦い)を解決する。無事に解決できるとカード右上の得点をもらえる。これをカードを更新していきながら数ラウンドにわたって繰り返し、無事に生き残って高得点をゲットしていたプレイヤーの勝ち。それだけ。
↓ こんな感じで発生するゾンビを、ダイスを使って撃退していく。
もちろんダイスの目によっては自分も死んでしまう。
最初は何人かの仲間を引き連れて旅をしていくんだけど、ラウンドが進むにつれて資源(各資源は主に戦いを有利にするために使用できる)は減り、ゾンビは増え、どんどん条件が厳しくなって仲間が死んでいく。全員死んだらゲームから脱落で、コーヒーでも淹れに行けってさ。
特に複雑な要素はなく、資源の数と仲間の人数、そしてダイス目で構成された、生きるか死ぬかのギリギリのライン設定がうまいなと思いました。
カード1枚に情報が分かりやすく集約されているのもとてもイイ。
ダイス運のゲームと言ってしまえば確かにそうかもしれないけど、選ぶ進路によって得られる資源が違ったり、資源は得られるけど得点は低かったり、出現するゾンビの数も違ったり…というふうに、ただダイスを振るだけではない面白さの工夫がされています。
個人的に好きなのが、毎ラウンドどのプレイヤーから進路を選ぶかを決める「競売」のシステム。(書き忘れていたけど、他人と同じ進路は選べない)
所有する資源を多く支払ったプレイヤーから進路を選ぶことができる仕組みは、ゾンビワールドにおける総合的なサバイバル能力を計るのに最適だと感じました。
真っ先に望みの道を進んだプレイヤーがあっさり死んでしまったりするゾンビ映画あるあるの展開になる可能性もあって、ワクワクしますねぇ。
ゾンビ映画やドラマに詳しい仲間とマニアックに遊ぶのが理想的かなと思いますが、そうでなくてもワイワイと盛り上がれるゲームではないでしょうか。
ボードゲームヒット・ザ・ロード 日本語版 (Hit Z Road)
対応人数は1~4人、1プレイは60分ほど。ゲーム会の初っ端にもよし、遊び疲れておかしなテンションになってからでもよしのゾンビゲーという印象でした。
最後に、当てにならない私のイチ押しのゾンビ映画・ドラマをご紹介して終わりたいと思います。(順不同)
よきゾンビライフを!
1、『ウォーキング・デッド』(ドラマ/2010~)
現在シーズン10まで放送されているサバイバルドラマ。最近はちょっとイマイチなところもあるけれど、途中までは本当に凄い。数多のゾンビものを軽々と凌駕している。
2、『ゾンビ』(1978)
言わずと知れたロメロ監督の超名作。個人的には3作目の『死霊のえじき』が好き。
3、『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005)
オススメってほどではないけど、上の写真中に名前が出てくるので。 こちらもロメロ。
4、『サンゲリア』(1979)
イタリアのルチオ・フルチ監督によるゾンビ映画の金字塔。死んでるんだから腐っていないとおかしいのでは。そんな当たり前の疑問に応えてくれている。監督は『ビヨンド』『墓地裏の家』『地獄の門』と執拗にゾンビ映画を撮り続けている変人ヒーローだ。
5、『デモンズ』(1985)
映画館でホラー映画を観ていると、観客の一人が突然ゾンビ化! アルジェント脚本、ランベルト・バーヴァ監督作。ちなみに、妻が大好きなゾンビ映画はこれの続編である『デモンズ2』! 泣ける(らしい)。
6、『死霊のはらわた』(1981)
サム・ライミ監督の名作。問答無用の疾走感。
7、『ZOMBIO 死霊のしたたり』(1985)
ラブクラフトの原作を下敷きにした、スチュアート・ゴードン監督作。
マッドサイエンティストものでもある。死ぬほど好き。
8、『RE-ANIMATOR 死霊のしたたり3』(2003)
上のシリーズ3作目。最高としか言いようがないぜ。
9、『バタリアン』(1985)
元祖おバカゾンビ映画。
10、『デッドリー・フレンド』(1986)
クリスティ・スワンソンに涙。『スクリーム』シリーズのウェス・クレイヴン監督作。
11、『ブレインデッド』(1992)
『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督による激烈ゾンビ映画。
12、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)
計算されていて、それが大成功したゾンビパロディの傑作。
13、『ゾンビランド』(2009)
アメリカ西海岸を目指すという点で『ヒット・ザ・ロード』に共通。
14、『28週後...』(2007)
『28日後...』の続編。自分はこっちの方が好き。この絶望感よ…。
15、『プラネット・テラー in グラインドハウス』(2007)
痛快でおバカなケッサク。ロバート・ロドリゲス監督。
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ではでは。モイモイ!(陽気に去る)