R・L・スティーブンソン『びんの悪魔』を読む

最近購入してよく遊んでいるトリックテイキング・ゲーム『ボトルインプ』ですが、このゲームには元になった物語があるというのを聞いていました。

ユニークなゲームなので折角だから原作も読んでみようと思い、早速『びんの悪魔』(原題:The Bottle Imp/R・L・スティーブンソン作/よしだみどり訳/2010年/福音館書店)を開いてみました。

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…その前にまず写真左、ゲームの方の『ボトルインプ』を簡単に説明すると、

  • 1〜37のカードをプレイヤーに配り切り、基本的に大きな数を出したプレイヤーがトリックに勝ち、出されたカードを勝利点として獲得するというゲーム。
  • ただし「19」のカードだけは配られず、場にある1本のボトルの下に置かれる。その「19」より小さな数は、大きな数より強い。
  • 小さな数で勝ったプレイヤーは、カードと共にボトルを引き取る。
  • そしてその小さな数のカードが、新たにボトルの下に置かれる(=ボトルの新たな値段となる)。
  • 「基本的に大きな数が強いが、ボトルの下のカードより小さな数はもっと強い」という原則の勝負を、手札が無くなるまで繰り返す。
  • 終了時に勝利点の多いプレイヤーの勝ちだが、その時にボトルを持っているプレイヤーは無条件で負けになる。

…というもの。

つまり、小さい数字を利用して点を稼ぎつつも、終わるまでに他の誰かにボトルを引き取らせないといけない。ただしボトルの下のカードの数字(ボトルの値段)はどんどん下がっていくため、他人に引き取らせるのが次第に困難になっていく…。

とっても難しく悩ましいゲームなのですが、さて原作『びんの悪魔』はどうなっているのだろうと思い、読んでみました。

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『びんの悪魔』は、ある貧しい青年がどんな願いでも叶えてくれるというびん(ボトル)を買うところから始まります。(ふむ、ゲームでのボトルの役割と同じ

しかしそのボトルには、死ぬまで持っていると地獄に落ちてしまうという厄介な側面があるため、願いを叶えたら誰かに譲らなければなりません。(これもゲームと同じ!)

譲るといっても条件があって、買った値段より安い値段で売る必要があります。(ゲームと一緒!!)

青年は願いを叶えたあと無事にボトルを売ることができますが、ある事情からもう一つ願いを叶えてもらう必要が生じました。

そこでボトルを買い戻そうと今の持ち主を頑張って探すのですが、青年を待ち受けていたのは驚くべき事態でした…。

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原作者のR・L・スティーブンソンは『宝島』や『ジキル博士とハイド氏』を書いた人。

短い中に、びんを巡る皮肉の利いた物語が展開されていました。

こうやって原作を読むと、「ボトルは大きな利益をもたらすが、持ち続けていると破滅する」というところがゲームに見事に移植されているのが分かります。素晴らしいですね。

また、2人用ルール「ロパカ」は主人公の友人の名前なのですが、このルールがまたロパカをうまく表しています。

「ロパカ」ルールでは多くの場合、プレイヤーはボトルを引き取ることなくゲームを終えられます。まさにロパカのおかげ。

この辺り、読んでからプレイすると楽しめると思います。

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カードに描かれている絵も、今なら意味が分かります。

私もオススメされて手に取りましたが、物語を知っているとよりゲームに入り込めますね。

びんの悪魔 (世界傑作童話シリーズ)

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