唐突に紹介する校正者の七つ道具その一、黒の筆記具です。
いい筆記具を使うと、いい校正ゲラになる。
そんなアホなと思うかもしれませんが、けっこう本当です。
基本的なスキルは当然必要ですが、特別字が上手くなくても、丁寧に、気持ちを込めて書けば、ゲラを見る著者・編集者に不快な思いをさせる可能性を下げることができると思います。
それを大いに助けてくれるのがいい道具、いい筆記具です。
今回は、私がこれまで使ったオススメの鉛筆を5本紹介したいと思います。
この中でどれが一番というのは特にありません。
その時の湿度や紙質によって微妙に鉛筆のノリが違ってきますので、状況に応じて使い分けたり、単に気分によって使い分けたりしています。
言えるのは、ここに挙げた鉛筆はどれも「本当にいい鉛筆」ばかりだということです。(*感じ方には個人差があります)
好きな方には当たり前の鉛筆ばかりですが、少しでも参考になれば幸いです。
なお、書き味をそれぞれカタカナで表現してみました。とっても分かりづらいでしょうが酌んでください。
硬さは、全種同じくらいの濃さになるようにチョイスしています。
(ですので、例えば以下をすべてBでテストした場合とでは、書き味の比較が大きく異なります)
では、まずはドイツ生まれの逸品『ファーバーカステル/FABER-CASTELL 9000番』。
校正で使うには3Bか4B。
硬いがゆえに紙の上を静かに滑る感じ。
4B以上を使うとまろやかさが加わって、書き味は「ヌサヌサ」。
次は、我らがトンボ鉛筆の最高峰『MONO100』。
こちらは硬さはB。
硬さと滑らかさの好バランス。
高級感もある。
メーカー曰く
芯粒子の細かさが「1ミリ立方に100億個」
だからMONO「100」とのこと。(よく分かりませんが)
ややオイリーで、書き味は「サナサナ」(もっと分かりづらい)
お次は再びドイツ発の定番、『ステッドラー/STAEDTLER マルス ルモグラフ』
これは3Bをチョイス。
非常に安定性のある鉛筆。湿度や紙質にあまり影響されないのが魅力。
書き味は「シャヌシャヌ」
そして『三菱 Hi-uni/ハイユニ』
硬さはB。
最高の鉛筆と評する人も多い1本。鉛筆の基本。
滑らかかつ軽やかで、どこまでも「サラサラ」とした書き味。
小学校の時の記憶に近い、いわゆる「鉛筆」。匂いもまさに「鉛筆」です。
最後はちょっとマイナーな『リラ/LYRA ART DESIGN 669』
硬さは3B。
これまたドイツ。
こちらは硬質な「カシャカシャ」という書き味。
デッサンをするようにゲラを仕上げたい、ちょっと変わった校正者(like me)にオススメ。
あまり売っていないようですが、私は世界堂で見つけました。
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ちなみに、鉛筆といえば鉛筆削りも重要。
上記はすべて国産の最高の鉛筆削り『カール事務器 エンゼル5』で削っています。
切れ味・耐久性とも文句なしです。
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以上、どれも普通の鉛筆よりやや値は張りますが、それだけの価値を感じられる鉛筆だと思います。
ぜひお試しあれ。(*繰り返しになりますが、使用感には個人差があり、また環境によっても変化します)
ちなみに、いま私が使っているのは、
シャーペン(太さ0.5、2B)
です。
削らなくていい!文明の利器バンザイ!
(まぁいまの気分ですけどね)